年始に夫の実家でTVを見ていました。
ちょうどモルディブが抱える3つの問題を説明していたのですが、まさかあんなに美しい国であんなごみの島があろうなど想像したことすらなく、ただただ衝撃を受けました。
私たち夫婦は、新婚旅行でモルディブへ行きました。
私は熱中症になったり、生理中だったりして、終始体調不良だったのですが…それでも年に1度は訪れたいねというほど素晴らしい時間を過ごしました。
旅が好きな人の中には、リゾート地に行くのを嫌がる人がいます。
商業観光地という感じで、現地の人や現地文化に触れることなく終わる旅というのもその理由の一つ。
確かにモルディブでは、現地の文化や人との交流はなく、ゴミの島問題だってもちろん知らず、ただただリゾートを満喫。
せっかく行ったのに、何してんだと旅好きの人には言われそうですが、モルディブではこれが成り立つ。
文化や現地の人との交流が、「その土地ならでは」を知る、体験するためだとしたら、モルディブでは「そこにいる」というのが「その土地ならでは」を体験することだ。
何もしない旅
私の個人的な意見だけれど、モルディブでは「何もしない」ことが旅の目的と言える。
例えば、沖縄へ旅行に行こうと思ったら、しっかりプランを考えない人でも美ら海水族館は行きたいな~とか、ソーキそばは食べたいな~といった何かその土地ならではの場所やグルメや体験したいことがある。
でも、モルディブは…朝起きて、朝ごはんを食べ、ちょっと散歩して、昼を食べ、海をぼーっと見てたら夜になる。
もちろんダイビング、シュノーケリング、マッサージもできるけれど、しなくても満足できる。
そもそも、島1つがホテルなので観光スポットもないし、ネットで話題のレストランももちろんない。
モルディブならではがないのだ。
だから日本でもできるような読書をぼんやり海辺でする。
暇になったら、ちょっと海に潜ってみる。
私たちが止まったホテルの朝ごはんも「モルディブならでは」ではない。
ビュッフェスタイルだけれど、奇抜なものはなく、オムレツ、パンケーキ、パンやシリアル、フルーツ、サラダなどオーソドックスな品が並ぶ。
だからだろうか。
誰も全種類食べるぞー!!と意気込んでいる人はいない。
みんな好き好きに適量食べて終わり。
私の朝ご飯はパンとサラダ。夫はパンケーキのみ。
文字にしたら、それって楽しいの?って感じだと思うけれど、これがすごく心地いい。
普段生活していたら、1時間も立てばメールが何件か来ていたり、SNSをチェックしたりする。
外出しても、街には色とりどりの流行りの品々がたくさんあって、いつも違うものがあって、最新の家電も毎シーズン出て、TVもあるし、いつもどこかに最新の話題のスポットがあって、刺激に事欠かない生活をしている。
いつも何かをチェックしたり、時間に追われていたりする。
でもモルディブでは、何もチェックしなくていいし、何の時間も気にしなくていい。
しかもオールインクルーシブのプランだったので、ホテルの食事やお酒の料金は日本ですでに支払ってある。
お金の心配、計算もなし。
面白いことに、時間もお金も一切何も気にしなくていいのに、夜は12時前には就寝して、朝は日の出とともに起きる。
時には日の出のちょっと前に起きて、じわーっと太陽が昇るのを見てたりする。
しかも食事も食べ過ぎないから、とても健康的な生活だ。
毎朝見てた朝日。日本で自発的に朝日見るなんて絶対ない
気の向くままに海でシュノーケルしたり、気の向くままダイビング。
普段の生活が、やることを優先順位をつけて、常に頭で考えながらあれやこれやのタスクをこなしている状況だとすると、モルディブはその頭の中のごちゃごちゃをいったん無にする生活と言える。
夜になったら寝て、朝になったら起きる。
お腹がすいたら食べ、腹八分でやめる。
頭をいったん無にしてリセットするだけでなく、身体的にもリセットするようなそんな生活。
いつもいつも何かをチェックして、頭で段取りを考えて生活していると、やっぱりどこか疲れてしまう。
それを1年に1度リセットするためにも何にもしない日を作りたいものだけれど、日常生活を送っている日本の家では難しい。
ついつい「ゴミ出し明日だった!」とか、ついついメールチェックしたり、TVや映画を見ちゃったりする。
でも、モルディブならそんなことはない。
そんなことを感じさせるものがないから。
唯一のモルディブならでは
唯一モルディブならではと言えるのが海だろう。
海は面白い。
毎日違う表情で、音も違って、たまに魚を見つけたり、鳥が飛んできたり…
モルディブで受ける刺激はそういうゆったりとした刺激。
だから、程よく満たされて1日何度も携帯見ようなんて思わないし、ここでしか食べられない名物料理を求めたりしない。
何もしなくても十分満足できる。
昔々のTVもショッピングセンターもない、何にもないころの人々は空に浮かぶ星々を見て物語を作ったりしたそうだけど、自然っていうのはただそれだけで娯楽になるんだなと思えたのがモルディブ。
浅瀬に来ていた小さなサメ
何もしない旅。
旅らしいことは何もしない、お土産もいらない。
ただただ、頭と体をリセットして、純粋にただその日1日を生きることを楽しむ。
モルディブは、そんな国だった。
年始に見たTVでは、モルディブの厳しい現実を説明しつつ、じゃんじゃんモルディブへ観光に行ってお金を使った方がモルディブのためになるという。
年に1度モルディブというのは今の私たちには難しいけれど、必ずまた行きたい。
お土産屋さんが立ち並び、次々と話題の名物グルメが誕生し、新しい観光スポットも増える観光地は、足し算の観光地。
モルディブは、引いて、引いて、海だけにフォーカスした引き算の観光地。
こう考えると、自分に必要なものを選別し、不要なものを引き算していくシンプルライフと似てる気がする。
だとしたら…たくさんモノがあったほうが、いつも新しいものを追い求めているほうが幸せな人には、物足りないのかもしれないな。